6月の梅雨の入りから8月の夏場にかけて気温と湿気が上がります。このような時期は温度管理と湿度管理に十分ご注意ください。
さて、夏場のような温度と湿度の高い時期はどのように小麦粉を保管すれば良いのでしょうか。
インターネットでは「夏場は冷蔵庫で保管しましょう」というのがよく見かけます。しかし、これには結露のリスクがあります。また、小麦粉を頻繁に使用する家庭やベーカリーにとってはあまり現実的な方法ではありません。この記事では原料を取り扱うメーカーだからこそお伝えしたい、小麦粉の管理の仕方をご紹介したいと思います。
小麦粉は常温で保管しましょう。
一部では、カビやダニの増殖を防ぐために冷蔵保管が良いという意見があります。しかし、ベーカリスタでは冷蔵庫で保管することはあまりおすすめしません。小麦粉は基本的に常温で保管することをおすすめします。
当社のパッケージは、水、空気を通さないチャック付きの素材を使用しているので、常温の保管に対応しています。
完全に密封されていないものは隙間からダニが侵入するのであまり効果的とは言えません。一度開封した小麦粉はできるだけ使い切るようにしましょう。また、袋から取り出した小麦粉を戻すのはおすすめしません。使った手粉などをストッカーに戻すのもやめましょう。
小麦粉は基本的には常温保管し、除湿機やエアコンなどを利用して室環境を整えた方が良いでしょう。理想は温度20℃以下、湿度50%以下です。
冷蔵庫はにおい移り、結露の発生、発酵の遅延など、さまざまな面でデメリットがあります。今回は、カビ、ダニの予防に関して詳しく解説しようと思います。
なぜ、冷蔵保管がよくないのか
冷蔵保管が良くない大きな理由は「結露」するからです。結露はカビの増殖の原因となります。また、結露で水滴が発生し、小麦粉に付着するとダマになりやすくなります。
また、冷蔵庫にあるほかの食品のにおい移りや、粉が冷やされることで起きる吸水の変化や発酵の遅延など、味や作業性にも影響します。
結露ってなに?
空気には水蒸気が含まれています。空気中に含まれる水蒸気量が多いほど、湿気を感じ、これを表す指標が湿度です。
温度の違いによって、含むことができる限界の水蒸気量は異なります。温度が高い方が多くの水蒸気を含むことができます。
冷たいコップに水滴が付着するのはなぜでしょうか。
あたたかい空気を冷やすと、水蒸気はこれ以上含むことができないため水滴が発生します。つまり、冷たいコップに水滴が付着するのは、空気がコップの表面によって冷やされるからです。このような現象が小麦粉もよう同様に、冷蔵保管した場合に起こります。
なぜ、カビるのか。
カビは悪臭を放ったり景観を悪くするだけではなく、人体に悪影響を与える可能性があります。カビは空気中に浮遊しており、それが食品に繁殖し、気管支炎や肺炎を引き起こ可能性があります。
カビは大きく分けると3つあります。
糸状菌、きのこ菌、酵母菌。
酵母菌はパンを焼くのに欠かせない菌でもあります。そのうち、人体に悪影響を及ぼし、予防や足し悪が必要なカビは糸状菌です。
カビが発生する条件には「栄養」「水分」「温度」「酸素」があります。どれか一つでも抑えることができれば発生を防ぐことができます。
カビがもっとも発生しやすい環境は温度25℃、湿度80%以上、また栄養、特にタンパク質や炭水化物、油脂などの有機物がある場合です。小麦粉の保管に定期している室環境は温度が20℃以下、湿度が50%と言われています。
なぜ、ダニが入るのか。
食品にいるダニは大きく分けてチリダニとコナダニの2種類があります。ダニの大きさはそれぞれ0.5mm以下で肉眼で確認するは難しいと言われています。そのため、開封後は混入しやすく、しっかりと封を閉じる必要があります。
ダニが発生しやすい環境は、栄養があること(餌となる)、20度以上の室温であることです。糖や油分を含むパンケーキミックスなどは特に注意が必要です。
ダニの混入を防ぐにはしっかりと密閉すること。また、増殖を抑えるためには20℃以下の場所で保管すると良いでしょう。ダニは冬眠状態になり繁殖を抑えることができます。
冷蔵保管の注意すべきこと。
頻繁に使用しない小麦粉やパンケーキミックスなど、長期間にわたって保存する場合は、冷蔵保存すると良いでしょう。冷蔵庫であれば、ダニの繁殖を防ぐことができます。ただし、結露に注意する必要があります。
1. 袋を閉じた状態で常温に戻しましょう。
冷蔵庫から取り出してすぐに開けた場合、冷たい粉が空気(冷蔵庫の外)を冷やし、水滴が発生する可能性があります。10〜15分程度おいて、粉の温度をある程度常温に戻してから開けるようにしましょう。
2. パッケージは空気を通さないチャック付きのものを選びましょう。
紙などパッケージだと、空気、水を浸透させてしまうため、粉に水滴が付着した場合、カビの原因になります。