今回の記事では、除草剤についてご紹介します。みなさんはグリホサートをご存知ですか。グリホサートとは、アメリカの事件をきっかけに発癌性があるとして世界で話題となりました。現在ヨーロッパ諸国をはじめ世界中で規制・禁止を進めている除草剤の一つです。一部の「食」に関心がある方はすでに知っているかもしれません。
小麦には、グリホサートは使用されているのでしょうか。
結論、現在もたくさん使用されています。特に、輸入小麦には気をつける必要があります。北米産小麦のほとんどに残留農薬が検出されました。
グリホサートとはどのようなものなのか、また、現在どのくらい使用されているのかをみなさんに共有したいと思います。
グリホサートとは
「グリホサート」とは、あまり聞き慣れないですが、実は世界でよく使われてきた除草剤に含まれる成分の一つです。では、なぜグリホサートが話題となったのでしょうか。それは、発癌性や腸内環境、地球環境に悪影響があると指摘されたからです。
グリホサートとは、「ラウンドアップ」と言われる商品として世界中に販売されており、世界でもっとも多く使用されてきた除草剤です。2018年、アメリカで320億円近くの賠償の事件がありました。それをきっかけに、世界中でグリホサートを危険視する動きが注目されています。現在、ヨーロッパ諸国をはじめ世界中でグリホサートを規制する動きや使用を中止する運動が行われています。 各国のグリホサート禁止・規制の主な動きがあった年を、下記の表にまとめました。
2015年 コロンビア、イギリス |
※新聞「農民」のデータ等を参考にしています。
日本ではグリホサートは使用されているのか。
日本では現在グリホサートは使用されているのでしょうか。また、今後、使用されていくのでしょうか。
結論から、日本ではグリホサートの規制を緩めるという、世界とは逆の動きが見られます。
現在の国産小麦、特に北海道産小麦において、グリホサートを使用している事例は今のところありません。しかし、輸入小麦には使用されています。
グリホサートが世界中に大量に余っていることが原因で、輸出小麦に大量に使用されるようになりました。その結果として、日本国内に大量のグリホサート使用の農作物が流入し、世界的なグリホサート大国となっていまいました。
実際にグリホサートはどのくらい検出されたのか
2019年の農民連食品分析センターがグリホサート残留量を国産小麦と外国産小麦のいくつかの銘柄で調査しました。日本に輸入小麦のほとんどに大量のグリホサートの検出が確認されました。一方、国産小麦のグリホサートの残留調査では、検出されませんでした。
しかし、今後の国産小麦にグリホサートが使われる可能性はあります。
2017年に厚生労働省によってグリホサート使用の基準が緩和されました。農作物によって変わりますが、小麦は5ppmから30ppmに。なんと6倍の緩和となります。また、お米のグリホサート基準の約3000倍も緩いのです。詳しくは農民連食品分析センターという研究機関のページにて確認ができます。
グリホサートを避けるための小麦粉の選び方
「グリホサートはなるべく避けたいけど、そこまで制限したくない。」という方は、まずは輸入小麦を避けることがおすすめです。現状として、国産小麦の方が安全と言えます。それでも輸入の小麦粉を使いたい場合、ヨーロッパ産(特にフランス産)を選ぶのが良いかなと思います。理由は、先程の残量調査で、フランスがアメリカ・カナダ産の小麦粉と比べ、かなり検出率は低いからです。ヨーロッパ全体で環境問題などを背景に、農薬散布を抑える動きが見られます。
しかし、今後の輸入小麦にはグリホサートが使われていく可能性は十分にあります。なぜなら、輸入農作物に関してはどの国も制約が少ない傾向にあるからです。この情報については今後注目していかなければなりません。また、国内の農作物や国産小麦についてもグリホサートの使用の禁止はないので、完全に避けたいのであれば、有機小麦粉を選ぶことをおすすめします。有機小麦粉はそもそもグリホサートが使えないだけでなく、自然由来の農薬・肥料に限られています。また、慣行栽培との距離も除草剤が散布されないように、十分な距離を設けて栽培されています。ですので、、グリホダートの検出率は極めて低いと言えます。ただし、風や雨などの外的環境によって左右される可能性があるので、100%検出されないとは言い切れないのが現状です。
まとめ
世界ではグリホサート禁止の方向に向かっておりますが、国内では緩和されるという方針となりました。国内小麦は今後グリホサートを使われていき、決して安心と言えるものではなくなる可能性が十分に考えられます。 今後も国内や北海道産小麦のグリホサート散布状況について、注目していきたいと思います。