みなさん、とうもろこしを使用してパンを焼いたことはありますか。実は、とうもろこしと小麦、相性がいいんです。
とうもろこしと小麦、一体なんの関係があるのでしょうか。
農業が抱える環境問題
農業と環境問題、一見関係がないように思えますが、実が化学肥料や農薬などによる土壌の汚染、水の使いすぎや水質汚染、トラクターなどの化石燃料の増加など、たくさんの環境問題を抱えています。
さまざまな業種で環境に対する改善活動が行われていることもあり、環境問題に取り組む農家も増えているそうです。農業の環境問題に対する取り組みの一つとして、循環型農業というものがあります。循環型農業とは、従来の化学肥料や農薬などに頼るのではなく、一般家庭や畜産業、工業などから出た本来廃棄するものを再利用し、肥料として活用する農業システムです。
なぜ、とうもろこしのパンが環境に優しいと言えるのか。
国産小麦のうち、約60%が北海道で生産されています。小麦はもともと、欧米諸国の乾燥した温暖地域で栽培されており、気候が似ていることから北海道での栽培が適していると言われてきました。しかし、近年の気候変動により、夏の雨季が北海道でもみられ、穂発芽などに悩まされている農家さんは増えているようです。その結果、農薬や化学肥料を多量に使用するなど、土壌汚染などが一部で問題視されています。
しかし、環境問題について考える農家さんが年々増えているようです。北海道は作付け面積が他の都道府県と比べて広大であるため、管理は非常に大変です。それでも、循環する農業を実現させようと努力する農家さんがいます。
その一つとしてあげられるのが、とうもろこしの茎葉を小麦の輪作に再利用することです。
農作物は同じ場所で連続して作る連作により、土壌の成分が偏り、生産量が減少したり、病気になりやすくなります。そのため、同じ土地に同じ農作物を栽培するのではなく、別の農作物を栽培することで土壌の成分にバランスを保たせる輪作の方が、小麦の生産は適しています。
そこで登場したのが、とうもろこしの茎葉などの収穫後の農作物残さです。とうもろこしと小麦を栽培し、輪作のサイクルに組み込むことで、とうもろこしの残さが小麦の肥料となり、循環型農業を実現することができます。
持続可能な社会を実現したい。
当店が北海道産のコーングリッツ・コーンフラワーを提供することにも理由があります。とうもろこしの加工品と小麦粉を合わせて販売することで、循環型農業を助けることができるからです。とうもろこしと小麦は輪作に相性が良く、とうもろこしの茎葉を土に混合することで小麦の収量・品質が向上することはわかっています。
私たちが目指す食のあり方は、おいしい食を提供することはもちろんのことですが、地球に優しい土・作物づくり、人に優しいパン作りをする方々を応援し、持続可能な社会を目指します。
コーングリッツの紹介
当店では、北海道・栗山町とその周辺で栽培された、マルチコーンを使用したコーングリッツとコーンフラワーをご用意しています。
コーンにはグルテンは含まれておりません。ですので、比較的グルテン力の高い強力粉と合わせて使用することをおすすめします。
まとめ
今回は循環型農業をテーマに、とうもろこしのパンはなぜ環境に優しいのかについて解説しました。循環型農業はとうもろこしに限った話ではありません。小麦の製粉後に出てくる「ふすま」も家畜の飼料となり、家畜から出るふんなどから堆肥が作られ、農作物の育成に使用されています。
生産者一人ひとりが無駄が出ないよう、生産・製造方法を工夫されています。この話を聞いて「なるほど!」と少しでも興味を持っていただけたら幸いです。とうもろこしを使用したパン作りも、ぜひ試してみてくださいね。